理論物理への道標 (下) (河合塾SERIES)
杉山 忠男
河合出版 刊
発売日 2005-12
解説と問題のギャップに驚く 2008-02-19
東大を中心とした大学入試問題の解説が中心にすえられている。
☆ 問題のレベルは、名問よりもやさしいものもある。
チョー難問(あまり類書が取り上げていないタイプ)はそれほど多くない。
選択された問題は東大のものが圧倒的。
はしがきにもあるとおり東大受験向けに書かれたものだからか。
しかし、少なくともこの3年ぐらいの東大の物理問題は難問ではなく基本を押さえる
方向に変化ていると思う。難度からいえば東北大の物理のほうがムズイ。
受験生のレベルが高い入試だと、普通の問題では差がつかないからちょっとひねる
わけだが、そのひねり方は、近時の東大はきわめて良心的。
そのゆえかは不明だが、汎用性のある問題集としてどこまで通用するか、
市場がある程度の答えを出しているのではないかと思う。
☆ 解説そのものは伝統的な解法。
しかし、どういうわけか、使わなくてもいいときに積分が使ってあったりする。
ペダンティック以上の意味があるかどうか不明。
☆ 丸々一問使っての解説。難系と同じやり方だが、解説はこちらのほうが
クオリティが明らかに高いし丁寧。
見やすい図も多数あり、よく工夫されている。なるほどなあと思う記述もある。
☆ それぞれの単元ごとに公式のまとめと簡略な解説がある。
ここは、標準問題精講などのほうが、より実践的で受験向きにできている。
道標はすごくペダンティック。たとえば絶対値記号をつかったりするわけだが、
分かりにくい。方向をプラスマイナスで表すことは普通すぎるからだろうか。
なにかムダに細かい。
☆☆電磁気学の考え方(故砂川重信)というよい入門書があって、これに酷似の箇所が
ある。気づいているひとは多いと思う。
はじめにそれぞれの章の解説(理論セミナー)がある。これがひとつの特徴。
しかしこの解説というのが、問題の解法とはまったく遠いところにあるもので、
科学読み物のようなものになっている。物理好きをひっぱるというかにおいだけの
フランス料理みたいなもの。
だから、受験用だとすれば、これの意義がよくわからない。
理論物理というのであれば、たとえばマクスウエルの方程式を示して、
高校物理で説明してあるのはこことここ、範囲外はこことここなどと明確に説明すべき。
磁性なら、原子のスピン構造についてのもっと詳細な解説を載せるべき。
物性物理のイロハでたくさんの参考書があるはず。
そのほか囲み記事とか余白のようなところにエピソードとか書いてあるが、いまどきの
物理1,2の教科書にも、この程度は書いてある(例、東京書籍、啓林館の物理1,2の
検定教科書)。
結局、においだけではないのかな。
最後の仕上げに使う問題集。
ただし基礎的な問題ははずしてあるので、東大以外だと、ムズイ問題を出す傾向のある
大学の受験用。
もっとくわしい解説⇒
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