荒巻の世界史の見取り図―大学受験世界史 (続) (東進ブックス―名人の授業)
荒巻 豊志
ナガセ 刊
発売日 2002-11
美味すぎる猛毒 2007-12-02
受験生時代に出会い、自分に衝撃を与えた参考書。今なお色あせない、現存する最高の世界史参考書と言ってもいいし、一般書として出版すべき内容の惜しい本とも言える。「憲法」とは何か。「権利」とは何か。「民主主義」とは何か。またそれらの由来は?あなたははっきり答えられるだろうか。この本は上記に挙げた専門用語の説明に重心を置きつつ、近代ヨーロッパの政治・経済・国際関係を概覧している。この時代の激動の諸現象が、前近代からどのように発展し、そして現代の諸問題と結びついているか。それが解き明かされたとき、目から鱗が落ちるであろう。読み物としても十分におもしろい。さすがに著書二冊目とあって、文章もこなれている。
ただし気をつけるべき点を二点だけ挙げておく。この参考書はE・ウォーラステインの「国際分業体制・近代世界システム論」という思想を元に書かれているので、これが標準的な高校世界史の解釈というわけではない。単に一つの論理を軸に論述試験を解けば高得点が得られやすいので、それにウォーラステインを利用しているに過ぎない。また、(だからこそ読み物としておもしろいのではあるが)受験参考書にしては異例なほど著者のイデオロギーにあふれており、特に左翼が大嫌いで(授業内での発言ではあるが)ソ連を「悪の帝国」とののしっているなど、思想的偏りが見られる。純真な受験生諸氏には、くれぐれもかぶれないように気をつけながら学習していただきたい。
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